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Q1PAHの診断を行う際には、どのような検査を行いますか?

PAHを疑う症状(疲労・倦怠感、呼吸困難、運動時の動悸、息切れなど)がみられる場合、まず以下のスクリーニング検査を行います。

●心電図
PAHでは、右室、右軸、右房などに異常がみられることがあります。ただし、重症例でも異常がみられない場合もあります。
●胸部X線
左右肺動脈、末梢肺血管の異常などがみられることがあります。ただし無症状のPAHでは、X線所見も正常であることが多いです。
●心臓エコー・ドプラ法
肺動脈、心室中隔、右心などに異常がみられることがあります。体に負担の少ない状態で肺動脈圧を測定できますが、肥満などの患者さんの状態によって検査結果が変動するため、PAHの確定診断には右心カテーテル検査が行われます。

スクリーニング検査によってPAHの疑いが強いと判定された場合には、確定診断のための精密検査を行います。PAHの確定診断のためには、右心カテーテル検査による肺動脈圧の測定が必要です。CTやMRI、肺血流シンチグラフィは、診断精度を高め、また基礎疾患や他の疾患を検出するのに有用です。右心カテーテル検査によって肺動脈性肺高血圧症と診断され、かつCTやMRIなどの検査により他の原因疾患が発見できない場合に、PAHと診断されます。
●右心カテーテル
肺動脈圧を高い精度で測定できます。他の疾患との鑑別にも有用です。
●CT造影
体に負担の少ない状態で、PAHに伴う心臓や肺血管の異常を検出するのに有効です。また肺実質の異常も観察できるため、基礎疾患や原因疾患、他の疾患の検出にも有用です。
●MRI
CTと同様に体に負担の少ない状態で、さらに被曝もなく、肺動脈の血流パターンや血流量・速度の評価、心機能の評価ができます。
●シンチグラフィ
放射線同位元素で標識したトレーサーを用いる検査法です。肺血流シンチグラフィでは肺動脈の血流分布が画像化され、肺血栓症との鑑別ができます。
●動脈血ガス分析
手や足の指先で血液中の酸素濃度を測定し、肺で十分なガス交換が行われているかどうかを調べます。

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Q2PAHの診断基準はどのようなものですか?

まず患者さんの症状や身体所見、またPAHの家族歴などのリスクに基づいて、スクリーニング検査が行われます。スクリーニングによりPAHの疑いがある場合は、右心カテーテル検査により肺動脈圧の測定を行い、確定診断がなされます。

PAHの診断基準は、肺動脈圧により以下のように分類されます。

PAH確診
安静時平均肺動脈圧が25mmHg以上
PAH疑い
安静時平均肺動脈圧が21~24mmHg
正常
安静時平均肺動脈圧が20mmHg以下

Hoeper MM, et al: J Am Coll Cardiol 62: D42-50, 2013より作表

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Q3PAHに対しては、どのような治療が行われますか?

PAHに対する保険適用がある薬として、「プロスタサイクリン製剤」、「エンドセリン受容体拮抗薬」、「ホスホジエステラーゼ-5阻害薬」があります。これらの薬は全身の血管よりも肺の血管をよりひろげて心臓の負担を減らし、全身への酸素の巡りを良くする作用があります。これらの「肺血管拡張療法」によって病気が完全に治るわけではありませんが、ある程度効果がある場合が多くみられます。しかし、これらの薬をどのように服用すると最も効果があるのかはまだ研究段階であり、専門医との相談が必要です。
さらに補助的な治療法として、「利尿薬」(循環する血液の量を減少させて、心臓の負担を減らす)、「酸素療法」(心臓の機能が低下して全身への酸素供給能力が低下しているので、吸入酸素濃度を上昇させてそれを補う)が、必要に応じて使用されます。
これらの薬剤による治療を実施しても十分な効果が得られない場合は、肺移植が考慮されます。

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Q4PAHに対する肺移植の現状はどのようになっていますか?

2013年末までに日本全体で行われた脳死肺移植は197件であり、そのうち両肺移植が93件、片肺移植は104件でした。肺移植を希望する患者さんは、肺移植認定施設(東北大学、獨協医科大学、千葉大学、京都大学、大阪大学、岡山大学、福岡大学、長崎大学)のいずれかで精査を受け、肺移植の適応と認められる必要があります。

出典:一般社団法人 日本移植学会ホームページ

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